第25章

九条遥はこの話を聞くとすぐに背筋を伸ばし、適当に返事をしてオフィスを後にした。

「お兄ちゃん、彼女がなんでここにいるの?最も嫌いな人じゃなかったの?」

江川新は妹の口を塞ぎたくなった。「九条さんは今、営業部で働いているんだ。正規の手続きで入社したんだよ。何を考えているんだ?」

「でも……」

「我が社の採用方針に何か不満でもあるのか?」

江川夕美は言葉を最後まで言えず、二ノ宮涼介のこの言葉を聞いて反論する勇気もなくなり、おとなしく江川新の横に立った。しかし心の中では九条遥への恨みが芽生え始めていた。

あの女がなければ、涼介お兄さんが彼女に怒ることなんてなかったはず。全部あの女のせい...

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